開発中のビジョンベース触覚センサは、センサパッドと対象面の間の滑りやすさ(固着率)を推定できます。これを利用して表面の重さや表面の滑りやすさがわからない対象物を滑り落とさない最小の把持力で持ち上げることができます。潰してはいけない食品などのハンドリングに適しています。

固着率は、滑りやすさの指標であり、下の図のような接触面中の二つの領域をドットマーカーの動きから識別することで得られる。固着率 Φ は接触面積全体 Sc に対する固着領域面積 Ss の比で定義されるものであり、ゼロがマクロなスリップで値1が完全な固着状態を示すもので、さまざまな表面間でこれらの中間の値をとる。

ビデオでは、重さのわからないものを固着率の情報を使って持ち上げた場合と同じものを固着率の情報を用いず、接触を検出した状態でグリッパのアプローチを止めた状態のまま持ち上げた場合の比較を示している。
固着率を評価しながら持ち上げる(上) 固着率を無視して持ち上げる(下)
固着率に基づくハンドリングできるビジョンベース触覚センサは、食品のハンドリングは勿論のこと、絶対に持ち上げ損なってはならない貴重なサンプル、容器(例えば深海探査サンプル、移植用臓器運搬など)の把持に利用するなど、まだまだ多くの用途があるように思います。いろいろな分野の方から、こんなところにも利用できるのではとのご意見をお願いします。